相続のトラブルとは?

相続のトラブルとは、主に【誰が何を相続するか】を揉めていることを指します。

相続では、子どもや親などのとても近い家族から、遠縁の親族(甥姪など)が関与するケースまで様々ですが、相続発生前の感情のもつれ等を原因として遺産額に関係なくトラブルや揉め事が発生します。

よく、遺産で揉めるのは富裕層だけなのでは?と思われている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。

遺産分割の事件(揉め事)で1番多いのは遺産額が1000万円以上5000万円未満のケースです。

今回は、どんな時にトラブルになりやすいのか解説致します!

年間、相続トラブルはどれくらい発生している?

相続で遺言書がない場合、まず実務上は遺産分割協議といって【話合い】を行って、だれが何を相続するか決めていきます。

協議【話合い】で解決しない場合や、連絡が取れない方などがいる場合に利用されるのが【遺産分割調停】となります。

遺産分割の調停は、近年増加傾向にあり年間13,000件に近い調停が発生しています。

トラブルになりやすいケース1(遺産の大半が不動産の価値)

東京都内にお住まいの方や、比較的都心の方が亡くなると、遺産の大半の価値を不動産が占めているケースはとても多いと感じます。

不動産の価値が多い場合は、みんなで分けることが難しく、共有は避けたいと考える方も多いのでどうやって公平に分配するか悩ましいところです。

そして、不動産に思い入れがある相続人(幼少期に過ごした実家など)は売却を拒みますので、売却した代金をみんなで分けることで話し合いがまとまらないケースも多々あります。

また、遺産の大半の価値を不動産が占めていると、現金や預金がないために相続税の納税に困ることが多いのが現実です。

ます、不動産が多く預金が少ない(相続税がかかる)ケースは、早めに専門家に相談しましょう。

トラブルになりやすいケース2(生前に贈与を受けた相続人がいる)

生前に、家の購入や孫の教育費など様々な理由で贈与を多く受けている相続人がいるケースは、とても多いです。

特に、子どもの中に未婚者と既婚者がいる場合は、生活環境や孫の有無により生前に贈与が発生するライフイベントが異なりますのでのちのち不公平を感じて、相続時にトラブルになりやすいかと思います。

また、被相続人と同居していた子供などは、世話をしていた(寄与)と感じることが多く、逆に疎遠だった子供からすると親との同居により特別受益を受けていたと感じることもございます。

特別受益や寄与分の主張が発生すると、具体的な金額に折り合いをつけるのが難しく、調停など第三者を挟まないと解決できなくなっていくこともございます。

事前に回避する方法として、被相続人に遺言を作成してもらうことや特別受益持ち戻し免除の意思表示をしてもらうなど生前の対策が必要不可欠です。

トラブルになりやすいケース3(相続人の中に疎遠者がいる)

相続人が兄弟間(親が亡くなったケース)の場合で、すでに他界している兄弟がいて甥姪が代襲相続人になった場合などが代表的です。また、子供のいない夫婦の一方が他界した場合、配偶者と兄弟姉妹(配偶者から見ると義理の兄弟)が相続人となるケースは、疎遠なことが多く、連絡も一切取っていないなどといったこともあります。

後者のようなケースは、遺言書の作成で100%回避できますので、子どもがいない夫婦が一方にすべて相続させたい場合は公正証書遺言の作成が必須です。

トラブルになりやすいケース4(遺産の詳細がわからない)

独居のご老人が亡くなると、疎遠の親族はまず遺産の詳細をほとんど知りません。

家の中を捜索し、金融機関や証券会社からのはがきや通帳、キャッシュカードなどで目星をつけていくしかありません。

現在の日本では、遺産を網羅した照会システムはないため、個別に調査する必要がございます。

不動産なら、市区町村ごとで名寄せ帳を取得して回る必要がありますし、預金は金融機関ごとに口座照会が必要です。

株式や保険は、照会システムが充実していますので、まずは専門家に相談しましょう。