今回の相談内容は【死因贈与と遺贈の比較】です。

【相談内容】

【現在、我が家には高齢の父がおり、終活について調べたり遺言について考えたりしいます。亡くなったときに財産を渡す方法として、遺言以外に死因贈与があると聞きました。遺言で相続させる、遺贈すると記載するときと効果はどう違いますか?

そもそも死因贈与とは?

死因贈与とは、正式には死因贈与契約と言い、民法上の契約行為です。

契約なので、遺言などの単独行為と異なり、もらう人とあげる人(受贈者と贈与者)で行う要式となります。

簡単にいうと【死んだら財産をあげます、もらいます】の契約になります。

それでは遺贈とは?

遺贈とは、遺言書の中で財産のあげる先を決めて記載することです。

【長男の●●に、A銀行の預金のうち金1000万円を遺贈する】などと記載する場合ですが、一般的にもらう人(受遺者)が法定相続人の場合は相続させると記載することが多いです。

上記のように、遺贈や相続させる旨はあくまで遺言なので単独行為(一人で完結できる要式)となり、上記の死因贈与とは異なります。

遺贈と死因贈与の比較(共通点など)

  • ●共通点●
  • 効力発生→遺贈、死因贈与ともに死亡により効力発生
  • 撤回→一定の場合を除き、遺贈、死因贈与ともにあげる側(遺言者・贈与者)の意思で撤回できる
  • ●相違点●
  • できる年齢→遺贈は遺言なので15歳、死因贈与は契約なので18歳(成人)
  • 不動産登記→遺贈は生前の登記は一切できませんが、死因贈与は仮登記も可能です(要件詳細などは割愛します)

死因贈与を選ぶケース

遺贈よりも、より一般の方には縁遠く感じるのが死因贈与かと思います。

上記で述べたとおり、死因贈与は契約なので、あげる方もらう方でお話合いをして決めるものです。

ですが、よく皆さんが知っている所謂契約は、勝手に一人で取り消せないものをイメージしているかと思います。

死因贈与契約は、契約の中でも特殊で一定の場合を除き、あげる方(贈与者)の一方的な撤回が可能で、とくに理由も必要とされていませんので遺言と近い性質を持っています。

【あくまで最終意思の表示なので、いつでも撤回できるということです】

では、どんなときに死因贈与契約を選択すると良いでしょうか。

(1)簡単には撤回されたくない

上記で述べたとおり、撤回は基本的に自由にできますが、双方で話し合いにより定めている点で遺言による遺贈よりも精神的に撤回しづらいと考える方が多い点です。遺贈はそもそも、もらう側の同意は不要なので一切知らせずに作成しているケースも多く、撤回も簡単にできます。

(2)死後、財産をあげる代わりに、生前の世話をお願いしたい

例えば【私の死後、姪に自宅不動産を贈与します。ただし、私が生きている間は、生活費として月額5万円を私に仕送りすることを条件とします】など負担付の死因贈与であれば、条件が履行されておると勝手に撤回はできませんし、お互いの利害が一致していれば揉め事も少なく済むと思います。

(3)財産をきちんと受け取ってもらえるか心配がある

遺贈はあくまで単独行為なので、もらう側がいらないと思えば放棄を選択することが可能です。

ですが死因贈与契約は、あくまで死後に取消はできませんので必ず財産をもらってほしい場合は良い選択かと思います。

まずは、専門家に相談しましょう。

遺贈も死因贈与契約も奥が深い法律行為です。

一度行うと、様々な規定があるのでまずは一度当事務所にご相談ください。

相続、終活はその方々に合ったオーダーメードの手続きが必要です。

まずはお気軽にお問い合わせください。