今回のご相談は【遺産分割の方法が知りたい!】

【ご相談内容】

【兄が他界しました。兄は生涯独身だったため、姉と私と弟の3人が相続人になりました。遺言書はありませんでした。財産は種類が多く、どうやって分けるべきか悩みなかなか決まりません。分割する方法の種類が知りたいです】

遺産の分割方法は大きく7つ!

相続が発生すると、財産の調査が必要になります。

預貯金や手許現金だけ、などのケースは比較的スムーズに分割作業ができますが、株や不動産、宝石などの価値がある動産が加わると途端にややこしくなるのが現状です。

(1)指定分割~遺言書で分割する内容を決める~

最近、終活ブームで増えているのが遺言書の作成です。

遺言書を作成する場合は、ある程度の法則を守れば遺産分割協議(話し合い)なしで承継(名義変更など)が可能になります。

指定分割とは・・遺言書で被相続人(亡くなった人)自身が、だれに何を相続させるか決めておくことです。

具体例

遺言者の妻に●●銀行の預金を相続させる、遺言者の長男に●●の土地を相続させる 等

(2)協議分割~話合いで分割する内容を決める

遺言書の作成が増えているとはいえ、やはり一番多いのがこの【協議分割】です。

その名の通り、協議(話し合い)で相続財産のうち誰が何を相続するか決める方法です。

その方法は大きく3つあります。詳細は後述しますが、【換価分割・現物分割・代償分割】と呼ばれています。

(3)現物分割~遺産をそのままの形で分割する~

現物・・とは不動産なら、●●の家は長女、●●銀行の預金残高は次女など、性質を変えずそのまま承継する方法です。よく使われている方法ですので、一番なじみ深いかと思います。

(4)換価分割~お金に換えて分割する~

換価分割とは、不動産を売却して、その売却代金を3人で分けましょうというような方法です。

不動産が遺産の大部分を占めているときや、価値の高い不動産と低い不動産があるときなど公平を図るために利用することが多い方法です。

実務上は、遺産分割協議書を作成し名目上一人の相続人に登記を入れることが一般的です。(代表相続人)

その方が売却手続きがスムーズになります。ですが、同じ協議書の中にきちんと売却代金(一般的にはそこから手数料などを控除した残金)を●●の割合で相続する・・などと記載することを忘れないでください。

相続税や登記申請の兼ね合い上、書き方が非常に大切ですのできちんと専門家に相談しましょう。

(5)代償分割~価値が高い財産を相続した人が代償する~

不動産をすべて1名の相続人が相続する場合などで、法定相続割合を超過する場合に利用されることが多い方法です。

つまり、多くもらったから代わりに●●円払うね という内容になります。

一般的に、不動産は共有している状態でないほうが良いとされています。(単独所有)

共有の場合は、税金の負担や実際の利用頻度(どちらが住むなど)が煩雑化しますし、売却するなど大きなアクションを起こすときもすべて全員で協力する必要があるためです。

一人が認知症になった場合や、亡くなってさらに下の世代(子供や孫)に承継されると共有者がどんどん疎遠になり人数も増えてしまいますのでさらに管理が大変になります。

そこで、代償分割の出番です!

代償分割の場合は、公平性も図れますので相続人の納得も得られやすいでしょう。

(6)調停分割~話合いがまとまらないので専門家に入ってもらおう~

著帝分割とは、協議分割の次のステージです。

お話合いがまとまらない(揉めている)ときや、音信不通(生きているけど仲が悪いので・・など)のときに利用される制度です。家庭裁判所に申立てを行い【遺産分割調停】を行います。

調停は後述の審判と異なり、あくまで専門家をいれた【話合い】になりますので、裁判所が決めるわけではないことは注意が必要です。

遺産分割調停は誰でも申立てできるわけではなく下記のような方が対象です。

  • 共同相続人(法定相続人のこと)
  • 包括受遺者(遺言で割合指定などを受けた受遺者のこと)
  • 相続分譲受人(相続人から相続分を譲渡された人)

なお、申し立てる先は相手方の住所地を管轄する裁判所合意した裁判所ですのでご注意ください。(自分の住所地や被相続人の最後の住所地ではない!)

なお、あまりに遠い裁判所などで申し立てた場合(相手方が遠方で)、遠方の申立人は電話会議システムを利用することができる場合もあります。(必ずではありません)

電話会議と言っても、自宅ではなく自分の住所地管轄の裁判所で行いますのでご注意ください。

(7)審判分割~家庭裁判所で決めてもらう~

(6)に記載した調停分割の次のステージです。

審判とは、一般的に調停の後に行われます。(法律上は、前置という決まりがないので、すぐ審判を申し立ててもいいのですが家庭裁判所の判断で調停からやりましょう、となるのが一般的です)

なお、調停不成立で審判に移行した際の裁判所は、下記のいずれかです。

  • 相続開始地の裁判所(被相続人の)
  • 合意した裁判所(話し合いで決めた)

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