こんにちは!相続専門行政書士の河野麻里です。
本日のテーマは『遺言によらない遺産分割協議』についてです。
亡くなった家族がこっそり遺言書を書いていてくれた・・というご相談は最近増加しています。
遺言とは本来、遺言者の単独の意思表示でするものですから、家族と相談して内容を決める方は実は少ないのが現状です。
作成した時点の家族構成ではこの遺言書の内容が一番みんなにとって良いと考えて作られていても、その後の子どもたちの結婚、出産、離婚、転勤など・・様々な大きなイベントにより遺言作成時と生活環境が変わってしまい効力発生時(遺言者が亡くなったとき)には、最適な分配方法ではないことも多いと感じます。
結果、家族(法定相続人)で相談したら、別の分け方で相続したい・・そんなお悩みを抱えている方もいらっしゃいます。
そんな方々のために今回は、遺言書と異なる遺産分割協議をする際の注意点や基本的な考え方を書いていきたいと思います。
目次
原則は、遺言書の内容に相続人や受遺者は縛られる!
遺言書と先ほども記載した通り、遺言者の意思のみで成立するものです。
そして、その最終意思は尊重されるべきものであり原則、遺言書が優先します。
遺言の内容には様々な法的拘束力がありますが、例えば以下のような場合はどうでしょうか。
【第一条 自宅である下記の土地建物は、遺言者の長男Aに相続させる。】
実務上、法定相続人の方(1名でも数人でも)に上記のように遺産を特定し承継させることを『特定財産承継遺言』と言います。( 改正民法2019年7月1日施行)
効力は、遺言者の死亡と同時に発生しますので、相続したくない場合は家庭裁判所にて相続放棄の手続きが必要になります。
では、遺言と違う遺産分割ができるのはどんな時?
民法上に遺言によらない遺産分割協議の方法について正確に定めた条文はありません。
ですが、一定の条件のもと、実務上は遺言と異なる財産の取得方法を法定相続人で決めることができると考えられています。
それは、遺産分割協議という名の贈与や交換行為とも言えます。(あくまで、遺言で取得した後で他の相続人へ贈与する行為は防げない為)そして、二重で税金が加算されないように、国も遺言によらない遺産分割協議の際の税務上の手続きを定めています。
ポイントは以下の3つです。
- 相続人全員は遺言の内容を認識したうえで、遺産分割協議に参加し、合意している
- 受遺者がいる場合は、受遺者も同意している
- 遺言執行者も同意している
その他の注意点はこちら
以下のような場合は、注意が必要です。
- 特定受遺者がいる(お世話になった近所のBさんに自宅を遺贈する、A法人に100万円寄付する等)
- 遺言認知の文言がある
- 遺産に不動産がある
- 相続分の譲渡を考えている
遺言書がある場合は、まずは専門家に相談しよう!
遺言書は、とても大切なもので法的拘束力も当然にあります。
内容により、様々な手続きが必要になり、遺言内容と異なる遺産分割協議について悩んでいる場合は自己判断せずに、まずは相続の専門家に相談しましょう。
当事務所は、相続の相談は初回無料で行っております。
まずは一度、ご相談ください。