
目次
1.そもそも遺言能力とは
遺言能力とは、そのままの意味で『遺言をすることができるとされている能力』のことです。
自分が作成する遺言の内容を理解したうえで、その結果を弁識しうる能力をいいます。
遺言者(作成者)が、遺言作成時に遺言能力がなければ、その者が作成した遺言は無効です。
自筆証書遺言の場合は特にですが、公正証書遺言でも、遺言作成時にきちんと遺言能力があったのかと効力発生後(死亡後)に家族が裁判を起こすケースはあります。
特に、高齢の方や認知症の方の場合は注意が必要です。
2.認知症になると遺言は作成できないの?
『認知症になったら遺言作成できないの?』と、ご質問を受けることがよくございます。
答えは、認知症=作成できない訳ではない が正解です。
というのも、認知症と診断されいるケースでも状態は本当に様々です。
年相応の軽度のものや、自分の年齢もわからない重度のものまでございます。
3.認知症の方が遺言作成をしたい時
まず、先ほどの遺言能力にあったように遺言の内容によっても、必要とされる能力が異なることを認識しましょう。
『すべてを妻に相続させる』という内容と『不動産は、換価したうえで、公益法人AとBに2分の1ずつ遺贈する』という内容では当然必要とされる能力が異なります。
専門家としては以下の3つを最低限のアドバイスとさせていただいています。
- 主治医の方に法律行為可能かどうかの診断書をもらう。
- 公正証書遺言で作成する。
- 記録として、遺言作成の日を録画しておく。(本作成中は録画できない可能性もございます)
4.成年後見の制度を受けているときはどうなるの?
成年被後見人の方でも、結論から申し上げますと遺言作成は可能とされています。
ですが、成年被後見人の方が遺言作成をするには以下の条件が必要になります。(民法973条)
①一時的にでも判断能力を回復している
⓶遺言の内容を理解できる状態である
③遺言作成時に2名以上の医師の立会いがある
現実には、少し難しいハードルかもしれません。
結論:遺言作成は、終活の第一歩です!元気なうちに作成しましょう!
遺言作成というと、遺書(死ぬ直前に書くもの)というイメージが一般的かと思います。
最近は、終活ブームで遺言は遺書と異なり、元気なうちに作成すべきものという認識も普及してきました。
とはいえ、作成したら本当に死んじゃうのでは・・などと不安視される方も依然として多いのが現状です。
作成した遺言者様たちの、作成後の感想で一番多いのは『これで安心して余生を楽しめる!』というものです。
遺言作成は、前向きに取り組んでいきましょう!