後見制度とは、認知症や障害など様々な原因で判断能力(自分がしようとしている行為が法律上どのような意味を持っているか認識する能力)が低下した人を法的に保護する制度のことです。

2021年現在では、日本人の平均寿命は女性は87.74歳、男性が81.64歳となっており、年々長生きになっています。

そして、高齢になり判断能力が低下したときは、財産の管理や様々な契約などを自分自身で行うのが難しくなってしまいます。

後見制度は2種類ある!

法定後見とは、判断能力が低下した後に親族など身近な人が家庭裁判所に『後見人をつけてください』と手続きして開始します。

それに引き換え、任意後見とは、判断能力があるうちに自分自身で信頼できる人(家族や専門家など)に後見をお願いし、いざ判断能力を欠く状態になったときに、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて任意後見が開始されます。

つまり、簡単にいうと事前に自分で手続きをしておくことを任意後見、判断能力が亡くなってから周りの人が手続きすることを法定後見といいます。

法定後見の流れ

法定後見による保護を受けるには、家庭裁判所に後見人等の選任の申立てをします。

申立ができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族などになります。
そして申立する裁判所は、本人の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所です。

そして、法定後見は本人の判断能力低下の程度により「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。

どの種類になるかは、申立人が決めるのではなく、医師の診断書などで総合的に判断し、最終的に家庭裁判所が決定します。

決定されると、被後見人・後見人の氏名、住所、後見人の権利など、その後見に関する内容が登記により、登録・開示されます。

法定後見を専門家に依頼した場合の費用は以下の通りです。

  • 申立手数料800円
  • 登記手数料・郵便切手など
  • 鑑定費用5~10万円程度(必要な場合)
  • 司法書士等の報酬10万円~20万円程度

任意後見の流れ

任意後見は、本人がお元気なうちに、将来的に任意後見人になる人との間で、任意後見契約締結するところからスタートします。

本来法律上の契約は、口頭でも締結できますが任意後見契約は必ず公正証書で作成することと決まっています。

ですので、公証役場で作成します。

そして、実際に本人の判断能力が低下したら、任意後見開始の申立を行い「任意後見監督人」が選任されたら、任意後見の効力が発生します。そのため、契約締結時ではなく任意後見監督人が選任されてからスタートするのが特徴です。

また、後見監督人とは、後見人を監督する立場の専門家です。

法定後見の場合は必ず付くわけではありませんが、任意後見では必ず後見監督人が付きます。

なぜ後見人が必要なのか

では、どうして後見人が必要なの?と思う方も多いと思いますので、必要になるケースをまとめてみました。

まず以下のような行為は、判断能力が低下すると行うことが難しくなってしまいます。

①銀行の解約や引き出しをしときとき

銀行は、本人が認知症で財産管理ができない場合は事実上の口座の凍結がなされ、口座から出入金ができなくなってしまいます。

②施設に入る契約をしたいとき

③施設に入るお金を捻出するために不動産を売却したいとき(※法定後見人はあくまで被後見人の財産を守るのが仕事なので必要のない売買は行えません)

④その他の重要な法律行為を行いたいとき

今からできる終活、専門家に相談してみましょう!

“終活”という言葉は、最近ニュースや雑誌で拝見することも多くなったように感じます。

終活は、基本的に元気なうち=認知症などになる前に行うことで様々な効果を及ぼすことが可能です。

遺言・家族信託・任意後見・死後事務委任など・・終活で行うことができる法律行為は多岐にわたります。

同じ資格をもつ士業でも(弁護士・司法書士・行政書士など)相続のコンサルティングができる幅広い知識や経験がある専門家はまだ少ないのが現状です。

当事務所は初回の相談は無料となっております。まずは一度、お気軽にご相談ください!